新しいアイデアを採るための4つの約束

http://ishiirikie.jpn.org/article/13638768.html

今回は「アイデアの貝」を潜って採る話です。


まえがき:

昨日のブログでは
ブレストの逆を考えることで、
示唆がありました。

それをもとに、
「今まで誰もが採ってきたような
平凡なアイデアではなく、
もっと魅力的なアイデアを見つける」
ための約束ごとを
ストーリーを通して
考えてみます。


新種のアイデア貝を発見しよう

海で貝を採っている
村人たちがいます。

右側は浅くて明るい海、
左側は深くて暗い海。

idea_shell01.jpg

右側の海は浅いので
簡単に潜れます。
いつも慣れ親しんだ場所で
よく食べている貝ばかりなので
見つけるのも容易です。

左側の海は深いので、
海底まで潜るのはかなり大変です。

しかも貝の色は、
奇妙で、見つけにくい色をしています。


そんな中、好奇心のある人が
左の海に挑戦します。

そして、貝を見つけました。

idea_shell02.jpg

でも、うまく見つけられても
食べられるか、わからないと
収穫かごにいれてもらえません。

わざわざ、深い海で苦労して貝を
とっても、成果にならないなら、
取る気も失せてしまいます。

次第に・・・

idea_shell03.jpg

取りやすくて、食べられることが
分かっている平凡な貝を採る人
ばかりになります。

右側の貝は今まで通りの、
皆がすぐに見つける平凡なもの。

でも、ある時、
平凡な貝じゃなくて
新しい魅力的な貝を
採らないといけなくなりました。

本当に魅力的な新しい貝を
見つけようとしたら、
左側に行かないといけません。

でも、どうすればいいでしょう。



新しいアイデアを採るための4つの約束

4つの約束をまもることにしました。

まず、これが一つ目の約束です。

食べられるか、は後まわし。
どんな姿でも、
貝は、取ってきたら
きちんと収穫かごに入れます。
すると、好奇心の強い人は左側の
海底にトライし始めます。

idea_shell04.jpg

深い海にもぐる苦労がきちんと
むくわれると、左側の貝がいくつか
集まるようになります。

これで、まえよりずっとよくなりました。
でもまだ、左の海に行くのは
好奇心旺盛な一握りの人だけです。

普通の人たちは、
貝を見つけようとすると
まず見える獲物が気になります。

浅瀬の貝が目に付くのです。

人は見えにくいものより
見えるものに注意を
引かれる特性があります。

そこで、二つ目の約束を作ります。

つまらないのでもいい、
たくさん採ろう。
たくさん採るということになると
選り分けて取ることなく、
どんどんとります。

目に見える浅瀬の貝は、
あらかた採ってしまい、
浅瀬に気をひくものは
無くなります。

次第に自然と
深い方にも採りに
行くようになります。

idea_shell05.jpg

これで、深い海から、
珍しい貝が集まるように
なってきました。

ただ、人は無意識に、
浅瀬の貝を参考に、
よさそうな印象の貝を
採っていきます。

見たこともないような貝は、
見つけてもほとんど
無意識に採るのをやめています。

そこで、3つ目の約束です。

へんてこな貝を歓迎して
収穫かごに入れよう。
こう意識づけすると、
次第に奇妙な貝も
採ってくるようになります。

もっと珍しい貝が集まるように
なりました。

だいぶいいですね。
でもやはり、深い海は
なかなか見つけにくい。
さらにもっと、
沢山採るコツはないだろうか。

そこで、4つ目の約束です。

誰かが見つけた近くには貝がある。
とったら周辺も探そう。
実はアイデアの貝の特性で、
見つけた近くには
必ず別の似た貝を
みつけることができます。

それを探すことで、
深い海からの採量を
増やします。

こうすることで、
見たことのない新しい貝を
たくさん見つけることが
できました。

だた、もちろん、
後で一生懸命考えて、
食べられる方法を
見つけることも大事です。



それ以来、この村では、
見たことのない
新しい貝が必要な時には、
この4つの約束を守ることにしました。

4つの約束があるおかげで、
浅瀬の知られたような貝ばかりを
見つけていた人たちは、
いつでも新しい貝を見つけることが
できるようになりました。



(お話、終わり)






補足




このお話は
人間がアイデアを考える際に
「よく知っている領域」(明るい海)
に偏ってしまう構造を
どうしたら
「よく知らない領域」(深い海)
まで、探索の足を伸ばせるか、
を「貝の採取」で表現したものです。


いいアイデアを取るには
冒険と結構な労力がいります。

そして、新しいアイデアほど
実行可能かどうかわからない、
という特性があります。

まず新しいアイデア
しのごの言わずに
認める土壌を作ること。(=判断遅延、のルール)

次に目につくものは
さっさと採りきって
見えにくいものを
取りにいくようにするために、
量をもとめさせること。(=量を求める、のルール)

それから無意識に
常識が捨てているアイデア
拾い上げるように
変なものを歓迎させること。(=突飛なアイデア歓迎、のルール)

そして見つけた周辺も探させること。(=他のアイデアに便乗、のルール)



まとめて書けば

新しいアイデアを採るための4つの約束
・判断を遅延する
・量を求める
・突飛なアイデアを歓迎する
・他のアイデアに便乗する

ですが、これはほぼ、
ブレインストーミングガイドラインです。

日本の表現は
・批判禁止
・質より量
・自由奔放
・他の人に便乗・改善
と表現されています。

実は、オズボーンらの原表現は
「新しいアイデアを採るための4つの約束」
の表現に近いものとなっています。



だれも取りに行かない
深い海から
新しい貝を
たくさん採って来よう。

そういうときにチームの約束としての
ブレインストーミングの4つのルール。
と解釈すると
すんなりいくのかもしれません。